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    怪しい、というよりは少し淫靡な空気が部屋に漂っている。

    僕がいつものようにチャイムを鳴らさず部屋に押し入ると「やあ」と言ってすぐさま彼女は布団に入った。

    「眠いです。寝ます。どうぞご自由に。」

    彼女の部屋はいかにも一人暮らしの女の子の部屋といった感じで、白を基調とした壁に黄緑のカーテン。真ん中に長方形のテーブルと小さめのテレビ。あとは服がかけられているラックくらいだった。

    クッションに座り、何を探すわけでもなく部屋を観察する。ご自由にと言われてもご自由にできるほど何かあるわけでも、何をしたいわけでもなく彼女が寝ている布団に侵入する。

    彼女はそれを嫌がるでもなく、手を広げて歓迎するでもなく黙って僕を見つめた。その眼には妖艶というにはあまりに幼いが、それでも誘うような色気くらいは宿っていた。

    彼女の顔に手をやり、頬を優しくつねる。

    「いーたーい。」

    独特なイントネーションで彼女は嫌がる素振りを見せる。口で言うほど拒否していないのはもうわかっていた。

    そのまま彼女の頬を舐める。くすぐったいのか身体をよじらせ声をあげて笑う。空いた手でわき腹をくすぐる。更に笑う。ひとしきり彼女の反応を楽しんだ後、唇を噛む。言葉にはならないものの「痛い」と言っているのがわかる。

    厚みある唇を歯で挟み、ざらついた舌を舐める。唇をそっと離し、彼女を見つめる。今のはキスではない。というのがお互いの認識。そうでないといけないのだ。

    「眠いー。」

    空気を弛緩させるためにわざとらしく声を張り上げる。彼女も安心したように微笑む。仰向けになり白い天井を睨みつける。

    「何してんだろう。」

    心の中で毒づき、勢いよく立つ。ポケットに煙草が入っているのを確認するとベランダへと出る。レースのカーテンを乱暴にしめ、窓をそっと閉じる。

    吐き出した煙は陽光の中で朧げな輪郭を作って消えた。

     

    | project Blue Train | 00:50 | comments(0) | - |
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